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私は大学病院や兵庫県の最終病院、地域の中核病院など、様々な病院での勤務医を20年近く経験しました。その間、手術に明け暮れたり、研究に没頭したり、与えられた環境の中で精一杯がんばってきたことが私のささやかな誇りです。そして、勤務医生活最後の4年間は地元の中核病院で耳鼻科部長として過ごしました。
その病院は決して小さな病院ではありませんが、私が赴任するまでは耳鼻科の手術はなく、外来診療を細々としているだけだったのです。やはり当初は外来で通院治療を行う患者さんばかりでした。つまり普通の開業医と同じ診療をしていたことになります。そして、それは私にとってとても貴重な経験になりました。
外来診療だけを行う開業医の診療形態と手術治療を主とする病院の診療と分かれてしまうことで、様々な弊害が生まれていることに気がつきました。例えば外来診療だけを行っていると、患者さんに手術という治療をお勧めするタイミングがどうしても遅れがちになります。
例えば、慢性副鼻腔炎(蓄膿)で鼻茸による鼻づまりがある場合、外来での治療である程度よくなり、患者さんもかなり満足するほどの治療効果が得られる場合があります。そうなると、お互いの信頼関係もできて、このまま外来治療を続けることになることもあるのです。そして、ようやく手術のために病院を紹介した場合には、病院側と患者さんのスケジュールの調整がつかなかったり、手術の位置づけが紹介医と病院側とで異なり、患者さんが戸惑ったり、手術をあきらめたりすることも少なくありません。
そして、病院は今や、厚生労働省の施策のために、外来診療を続ける患者さんを寄せ付けなくなっており、医師と患者とが信頼関係を築いた上で手術を行うことが難しくなっているのです。
そんな中で発想したのが開業医が手術をすることでした。患者さんにとって、最初の外来治療の段階から手術についての相談もでき、どちらを選択しても治療を続けられる、医師にとっても患者さんの都合にあわせて無理のないスケジュールで手術が計画でき、さらに手術後の治療も責任を持って治療に当たれる、まさに理想的な診療形態です。幸い、耳鼻科では、手術方法や手術機器の進歩で、より安全性の高い手術が可能になってきたことから、日帰り手術や短期入院
手術の気運が高まってきていました。そして、大阪泉州地区では初の全身麻酔が可能なサージクリニックを開設するに至りました。
私自身にとりましても、この診療形態はとても幸せなことです。勤務医での20年近くは、外科系の医者(耳鼻科も外科系なんですよ)にとって、手術の研鑽を積んでいくことであったといっても過言ではありません。そうしたら、開業して手術をぱったりとしなくなったら、なんのために20年近くも手術をがんばってきたのかということになります。
もちろん、医療は手術だけではありません。しかし、治療の1つとして手術があり、その技術が大学病院で講師として後輩を指導できるほどであり、手術によって患者さんの笑顔をみれる医者にとって、手術をしないことはとてもつらいことに違いありません。
ですから、開業でメスを捨てることを隠居生活と揶揄する輩もいるほど、外科系の医者にとって、手術という治療の位置づけが重いといえるのです。
そして、今や私は耳鼻咽喉科領域の病気でお悩みの方々に、それぞれの患者さんのご希望をふまえた上で、通院治療においても、手術治療においても、良質な医療を提供できると自負しています。当院を受診いただいたら、その期待に応えることに全力を尽くしたいと思います。
老木医院 院長 老木浩之
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