耳鼻咽喉科サージクリニック 老木医院
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 子供の病気の治療方針
小児副鼻腔炎の当院の治療方針

●はじめに

 副鼻腔炎は俗に蓄膿(ちくのう)と呼ばれている病気です。幼児期から学童期にかけて大変多い病気ですが、誤解されている面も多いようです。ここでは順をおって副鼻腔炎の解説をした上で、小児副鼻腔炎の当院の治療方針をお示しします。

●副鼻腔炎の基礎知識

  1. 副鼻腔とは?

     顔の図で、緑の部分は鼻の中、鼻腔(びくう)というところです。
     鼻腔の周囲には骨で形作られた空洞が鼻の中とつながっており、副鼻腔(ふくびくう)といわれます。(図1)

    (図1)
    (図1)
    (図2)
    (図2)

     副鼻腔は場所によって4つの名前が付けられています。(図2)

    上顎洞(じょうがくどう)
    篩骨洞(しこつどう)
    前頭洞(ぜんとうどう)
    蝶形骨洞(ちょうけいこつどう) 図にはありません。

     副鼻腔の中では骨が見えているわけではなく、鼻腔から連なるうすい粘膜で内面は
    おおわれています。

  2. 副鼻腔炎

     副鼻腔炎とは鼻腔から副鼻腔にバイ菌が入り、炎症を起こした状態をいいます。副鼻腔の粘膜が腫れたり、副鼻腔に膿汁がたまったりします。
     図では向かって右側が正常、左側では上顎洞や篩骨洞にたまった膿が鼻腔に流れ込んできています。(図3)

    (図3)
    (図3)
  3. 小児の副鼻腔炎の特徴

     副鼻腔は生まれつきあるものではありません。骨の発育とともに、徐々に空洞が大きくなり、形作られるものです。(図4)

    (図4)
    (図4)

     例えば、上顎洞でくらべてみますと、大人では、ほお全体に拡がり、クルミ大くらいの大きさの空洞になっていますが、2・3才の幼児では、小指の先ほどの、ほんの小さな空洞です。
     また、鼻腔と上顎洞とのつながりは大人ではごく小さな穴でつながっているだけですが、幼児では上顎洞がまだでき始めのため、鼻腔と区別がつけにくい程、広くつながっています。
     小児と大人の副鼻腔炎を比べると小児は鼻腔と副鼻腔とのつながりが広いため、簡単にバイ菌が侵入します。また、空洞が狭いため、すぐに膿が一杯になって、鼻腔にでてきます(青バナ)。つまり、小児の副鼻腔炎は

    ・風邪など、ちょっとしたきっかけで、なりやすい(繰り返しやすい)。
    ・青バナが多くでる。
    ・治りやすい(慢性化しにくい)

     大人では小児と全く逆の特徴となります。つまり、副鼻腔炎にはなりにくいが、一旦なると治りにくいということがいえます。

  4. 症状

     症状としては、膿の混じった鼻汁(青バナ)がでます。炎症の程度によってその量はかなり違ってきます。ノドに膿がまわって、頑固な咳の原因になることも多いです。熱は出ても微熱程度です。

  5. 診断

     青バナがでたり、ノドに膿がまわっている状態が確認できたら、副鼻腔炎と思ってほぼ間違いはありません。
     診断にはレントゲン検査が必要ですが、小児では副鼻腔が小さく、通常の単純レントゲンでは診断がつきにくいことが多いため、正確な診断にはCTが必要です。
     しかし、当院では、小児の場合、よほど重症例でない限り、検査はいたしません。それは、症状や鼻の中の具合で治療をすすめれば十分であり、レントゲン検査によっても治療が変わることがないからです。(大人の場合は別です。)

  6. 治療

     バイ菌による炎症ですから、バイ菌を殺す抗生物質と膿汁の排泄を促す処置が中心になります。治療法は以下のように分けられ、状態に応じて、組み合わせて行われるのが一般的です。

    鼻の処置 鼻の中の膿汁を吸い出したり、粘膜のハレをやわらげる薬をスプレーし、副鼻腔にたまっている膿を出ていきやすいようにします。症状のひどいときはできるだけこまめにこの処置が必要となります。
    ネブライザー
    (吸入)
    抗生物質や炎症止めの薬を微粒子にして、鼻の奥や副鼻腔に入りやすいようにします。飲み薬のような全身への影響が少なく、鼻に直接効くすぐれた治療法です。
    内服薬 鼻処置やネブライザーは通院時しかできないため、治療効果には限界があり、飲み薬による治療も必要となります。抗生物質や炎症を抑える薬、粘っこい鼻汁をさらっとさせて出ていきやすくする薬を使います。
    点鼻液 鼻の粘膜のハレが強く、鼻づまりがつらい場合には炎症を抑え、ハレをとる薬の点鼻液を使います。
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●小児副鼻腔炎の当院の治療方針

  1. 小児では原則として、レントゲン検査をいたしません。

     小児では副鼻腔が小さく、すぐに膿が鼻に出てくるため、副鼻腔の状態が鼻の中の状態にほぼ正確に反映されます。つまり、鼻の中に膿汁があれば、副鼻腔にも膿がたまっており、鼻のなかがきれいなら、副鼻腔炎も治っていると判断してほぼ差し支えありません。
     また、小児では、かぜなどをきっかけにすぐに副鼻腔炎になります。大人の副鼻腔炎のように、完璧に膿のたまっていない状態にすれば再発の防止策になるというわけではありませんから、レントゲンで完璧に治っている状態を確認する意味あいは薄いと考えています。

  2. 鼻処置はガラス吸引管を使い、痛みのない処置に努めます。

     鼻汁をすうとき、鼻の奥に金属管をつっこみませんから、小児は痛くありません。恐いという先入観やビックリしたりして泣く子はいますが、全然痛くありません。

  3. 抗生物質はできるだけ短期間の使用にとどめます。

     鼻汁が緑色をしている、いわゆる青バナや黄バナはバイ菌の感染の証拠です。そのような場合には抗生物質を処方いたします。鼻汁の色が透明になってきたら、抗生物質は処方せず、なるべく短期間の服用で済むようにしています。
     おおむね当院では4〜7日程度の服用期間になることが多いようです。ただし、なかなか鼻汁の濁りがとれない場合には結果的に2週間以上、抗生物質を飲んでいただかざるを得ない場合もあります。

  4. 飲み薬の副作用を避けるため、積極的に点鼻液を使用します。

     乳幼児で鼻づまりがきつい場合には炎症止めの点鼻液を処方いたします。さらに抗生物質の内服薬を数回処方しても鼻汁の濁りがあまりとれてこない場合には抗生物質の点鼻液を使用します。

  5. 症状がなく、鼻の状態が良くなれば、すぐに通院を終了とします。

     お母さんが気づく症状がなくなっても、鼻の奥で鼻汁がたまっているということが少なくありません。診察で鼻の中の状態がよくなれば、積極的に治療の終了をお伝えしますので、それまで通院いただくことをお勧めします。
     もちろん、また症状が出てきた場合にはお早めに。

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