現在、幼小児の滲出性中耳炎について、欧米の耳鼻咽喉科医の共通認識は、以下の通りです。
- 滲出性中耳炎は自然治癒することが多い。
- 我が国で行われている耳管通気は、諸外国では、治療法として行われていない。
- 鼓膜切開にはほとんど効果がない。
- 飲み薬はごく弱い効果で、1カ月以上飲んでも変わらない。
- チューブ留置術とアデノイド切除術は一定の効果はみられる。
- 滲出性中耳炎が言語発達などの発育をどの程度遅らせるのか、いまだ不明な点も多い。
以上の事実から導きだされた治療方針が当院の治療方針になっています。
なお、耳管通気に関しては、耳鼻科の先生方からの反論が予想されるので、念のため、追記します。
- 我が国で行われているポリツェル通気(ゴム球によるガッコウ通気)は欧米では行われていないようです。
- 通気療法は欧米の一部で行われていますが、自己通気といって、風船を用いた器具を家に持ち帰り、自分で行うというものです。
- 自己通気に関しては、治療効果が認められたとする論文がありますが、例数が少なく、はっきりとした効果があると結論づけるには不十分です。また、これら数編の論文のスポンサーについても厳密に検証する必要があります。
- ポリツェル通気と自己通気はその施行頻度など、決して同列に扱われるものではありません。自己通気の有効性を持って、ポリツェル通気を有効とするのは不適切です。
- 以上の追記事項は、EBM(Evidence-Based Medicine;根拠に基づく医療)という手法を用いて私が検証した結果の見解です。
- なお、我が国では現在、耳鼻咽喉科開業医のほとんどがポリツェル通気を有効性のある治療として行っています。