まず、中耳炎の治療に限らず、ごく一般論からお話したいと思います。複数の医師から治療方針について話を聞く場合、誰もが、より楽な、ためらいのない治療法に流れがちになります。これはおそらく私とて同じです。ある病院で、手術が必要といわれ、他の病院では手術は必要ないといわれたら、その方が絶対に嬉しいです。安易にその治療法にすがってしまいがちです。もちろん、本当にどちらがいいかはケースバイケースですし、それこそ客観的な判定も難しい場合はあります。
しかし、どちらにしても治療法選択の場合、はじめから手術という選択枝は、絶対的に不利な立場、つまり最も選ばれにくい立場にあるのです。そのことは常に念頭に置いて、選択を誤ることのないよう注意が必要です。中耳炎の手術に限ったことではありませんが、私も今まで、どれほど「あぁ〜あ、手術をしたらすぐに楽になるのに・・・」と思った患者さんが多かったかしれません。
次に今回ご質問の具体的ケースについてですが、近所の耳鼻科医のご意見には理解しにくいところが多いのです。まず、「手術を勧めるほど炎症がひどくない」とはどういう意味なのか不明です。慢性中耳炎は外来での治療では完治がまず望めない病気です。ですから慢性中耳炎は、特殊な例を除いて、そのほとんどが手術の対象となるのです。炎症の程度で手術の要不要が決まるわけではありません。また、危険性が高いというのは、あなたの聞き間違いかもしれませんね。
前出のご質問でもお答えしましたように、中耳炎の手術は決して危険性が高くはありません。技術的には簡単なものではなく、豊富な経験と熟練が必要ですが、身体に対する負担が少なく、安全性の高い手術なのです。
ときとして医師の中には、危険性をいたずらに強調し、中耳炎を手術でよくするという機会を患者様から結果的に奪っている場合があるように思えてなりません。今回のご相談のケースがそれに該当するかどうかは不明ですが、手術について複数の医師から意見を聞かれる場合には、手術を行っている医療機関でお尋ねいただくほうがいいかもしれませんね。
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